営業中、急な腹痛! 「ひ~っ」と叫びながら最寄の、馴染みのフロアマット工場のトイレで、「あゥ~ん」と力んでいると、壁に貼り付けられた切抜きに目を奪われました。
有名な高杉晋作の「おもしろきこともなき世をおもしろく」という辞世の句。 その解釈が面白い! しかもタイムリー。 新入社員が入社1~2ヶ月たち、興奮も落ち着き、社会人のタイヘンさに絶望し、「こんなつもりじゃなかった」と会社を辞める人が急増する季節。
じゃあ、このクルマ業界はどうだろ? クルマ好きが、趣味の延長で楽しくやっているイメージがありますが、私は違うと思っています。
私が知るショップの大半は、お客さんのクルマのために、時間も労力も注ぎ込み、自分のクルマは放置プレイ。 愛車が無い、とか、ボロボロの代車が脚替わりなんてショップのオーナーやメーカー社員さんなんてザラ。 自分のクルマを洗車する時間があるなら、まずお客さんのクルマから。 この切り抜き記事の中の、’今でしょ!’で有名な林先生の言葉通り、「自分と関わってくれた人が『良かったな』と思ってくれたらそれでいい」というものを実践しているんです、皆さん。 サスガ! だからお客様車両優先。
私も自分が仕事には関係の無いプライベートなクルマをユックリ弄るようになったら、終わりだと思っています。(もちろん、デモカーやイベント出展のために心血注ぐことは別です)。 その時は、おじいさんになって退職しているか、クビになっているかのどちらかでしょう(笑)
さて、居心地の良いトイレで、心もお腹もデトックスされ、ちょっと早めに帰社。 新規取引先さまが東京から来られているんです。
モタガレの河野さん。 以前からこの会社の記事を目にしたことがありました。 まさかその会社の方が奈良県までお越しになるとは!
普通、こんな感じの洗練されたネット会社さんって、超有名大手ブランドだけを取り扱うようなイメージですが、掲載記事を見ると、結構ディープなショップさんに訪問して紹介記事を掲載されたり、普通の通販では売られていないショップのオリジナル商品を扱われています。 見た目シャレオツですが、裏でやってることはかなり泥臭く、実際に脚を使って汗をかいておられることが良く分かります。
会社の概要を聞いて納得しました。 会社の社員さんの大半はクルマ業界の出身者。 河野さん自身も以前の所属は、誰もが知る大手ホイルメーカーさんで、私も以前担当していた和歌山県の元営業マン。 お話を聞くと、共通の知人やショップがたくさん。
他の社員さんや起業者の方も、整備関係、パーツメーカー勤務、さらには自動車メーカーの開発部署出身の方など。 それぞれの会社の名前は、絶対に皆さんが知っているほどで、実名はだせませんが、非常に頼もしいメンバー。 クルマが好きなのはモチロン、それ以上にプロとしての知識、技術、経験を兼ね備えた人たちがインターネット上で商品販売をされるとなると、買う側も、そして売る側の私たちも非常に安心出来ます。 クルマの部品はライトなものはともかく、ハードなチューニングパーツは、専門知識が無い販売店が取り扱うと、注文ミスなどもおきえます。 装着出来ないとなったら、お客様も嫌でしょうし、売る側だって嫌なモンです。 かといって高額な商品の返品を頻繁にされると、こちらもタイヘンなことになります。
モタガレをスタートするきっかけは、起業メンバーの1人の方のこんな気持ちだったそうです。
「欲しい部品がショップオリジナルであるんだけど、通販されていなくて、電話のみの対応。 この業界で長年働いているけど、イザ、自分が電話しようかと思っても、なんだか躊躇してしまう…」
この話を聞いて、爆笑しました。 だって、私もクルマ業界20年、営業暦10年ですが、いまだに新規のショップさんどころか、しばらく訪問していないお店でも、入店する前に相当気合を入れなきゃならないことが良くあるからです。 「甘ったれたこと言うな!」と言ってしまえばこの企画は生まれなかったでしょう。 正直な気持ちに真摯に向き合うからこそ、モタガレは生まれたんですね。 業界人でさえ正直なところそういう気持ちなら、一般のユーザーさんにはもっとハードルが高いものです。
そんなことからはじめたモタガレさんの企画、こんな話がドンドン出てきたそうです。
「ショップさんがあまりネットに情報を出していないので、どんなお店かわからない」
「ネットで購入したパーツは取り付けをどこに依頼するのが良いのかわからない」
「持ち込みなんてしたら嫌がるショップさんがやっぱり多いのでは?」
「エアロなどの大型商品は個人宅への配送が大半できなくなった、どうすればよいのか」
そう、業界で働く私だって、ユーザー側に立てばまったく同じ気持ちです。
最近では、せっかく有名大学を出て、大手企業に入ったのに、固定電話を取るのが嫌で、ノイローゼになったり、辞めるきっかけになることもあるそうです。 それを「甘い」なんて言い出すと、ただの頑固オヤジ。 だって、50歳前の私だって、知らない電話番号の着信が営業携帯にかかると、迷ったあげく、無視することもあります(苦笑)。 オジサンだって固定電話を使わなくなって十年以上、携帯電話には基本的に登録されている人からしかかかってこない、というものに慣れされています。 だからこそ、こういう視点からのネット通販店ができるのであれば、最高だろうなあ。 って思っていたらすでにはじめていたのがモタガレさんだったというわけです。
モタガレさんでは、ホームページでただ商品を売るのではなく、取り付け店も紹介してくれます。 しかも、この業界出身者が紹介してくれるお店なら安心です。 今日、お会いした河野さんだって、和歌山県一つとっても、私以上にたくさんのショップさんに実際に出入りした経験をもっておられました。 適当に電話で契約したような取引先ではなく、実際に訪問したり、以前からのお付き合いがあり、安心できるショップを紹介してくれるのです。
また、そういうショップさんに実際に取材にいって、各お店の本当の生の情報を掲載し始めておられます。 契約だけで右から左に商品をさばくのではなく、仕入先となるすべてのショップやメーカーに必ず脚を運び、顔を合わせて商品を取り扱いするというのは、今まであったようで、あまり無い新鮮な取り組みです。 まさに血の通った販売方法です。
そしてそれを大手有名ブランドメーカーに限らず、全国のショップさんの商品まで取り扱おうとするのですから、脱帽。
いただいた資料を見るとオートサロンにも出展されていたようでした。 織戸選手のクルマも展示していたんですね、そういや見た記憶あるゾ。 こんな会社だったんですね。
ということで、当社も掲載をお願いいたしました。
クルマ業界もそうですが、長く続いたものというのは良くも悪くも変化が乏しくなってきます。 そんな時、こういう新しい考え方を展開する会社が現れると非常に刺激を受けます。 入社したて、働き始めは、何もかもが新鮮。でも5年、10年、20年と経つと、経験値、知識、技術が向上して、作業効率はよくなっていきますが、同時に、何かちょっと新しいことをしようとする提案や人を見ると、「そんなのムリ」「それはありえない」「常識はずれ」「ばかげている」「知識不足だよ」なんて言葉でやる前に否定するようにもなってきます。
メディアではややもすれば、すぐに「若者のクルマ離れ」を強調します。 それを一時は鵜呑みにしたこともありました。 でも、提供する側が「クルマはもうダメだよ」なんて言い出せば、それはどんな業界でも買う側、受け取る側はもっとしらけます。 それに、私自身、毎日営業に廻っていて、いつも刺激だらけ。 そんなことは無いんです!
おもしろくするのか、しないのか、それは自分が決めること。
腹痛に襲われてよかった。 おかげであの記事が見れた。 アラフィフ、しかも実はクルマに興味の無い私ですが、でもこの仕事、そしてクルマ業界はとても面白いんです! クルマに詳しく無い人間の視点も、実はたまに新商品の開発に役立ちますしね。
モタガレさんにお世話になるとはいえ、私もささやかながらシルクロードのブログ、そして今後予定しているシルクロード通販サイトの担当です! 負けずに頑張ります!
オモシロくなってきたゾ! やはり「商いは飽きない」!