九州、四国、関西、関東、北関東、そしてアジア諸国、欧米を営業で回ってきました。私は贅をつくした高級フレンチや割烹よりも、各地域で普段から地元の人々に愛され、日常、食べ続けられているものこそが、実は一番旨いものだ思っています。
貧乏暇なしで高級なものを口にすることは少なく、偉そうに何がウマいかを論じる権利はありませんが、それでも声を大にしていいたい、私にとっての最強のヒトサラは、福島県発祥の、白河系ラーメン。初めての出会いは栃木県。
「うまい醤油ラーメン喰いにいきましょう」
栃木県のJUSTICEの藤森君に初めて誘われたとき、ダシ文化に誇りを持つ関西人の脳裏に浮かんだ言葉は、「申し訳ないが、たぶん、期待外れ… 流行りのトンコツやニンニク濃厚系ならまだしも、ダシにうるさい私に、繊細な醤油系は無力だろう…」
一時間後、連れていかれた「とらや分店」さんで、私は悶絶していました。
https://ramendb.supleks.jp/s/11052.html
とんでもない衝撃でした。トンコツやニンニクの濃厚系に慣れているワタシ。あきらかに見た目あっさりのスープが、まさかガツン!と迫力あるパンチを放ってくることは予想外!でも、ニンニクや調味料の味はほとんどしない。塩分は非常に薄く、あっさり、すっきり。なのに、旨味の塊のような満足感のある味。あっさり味とパンチ力が共存するスープなぞ、あり得ない!
いや、一つだけ近いものを食べた記憶がある!そう、世界から絶賛されている、台湾の鼎泰豊さんの小龍包!日本でも高島屋などのデパートに出展されている激うまグルメ!これを食べると、失礼ながら他の小龍包が、すべて似て異なるものに思えてしまうほど。
そう、この超激薄の皮を破ったときにあふれ出す旨味の塊のスープ!あの味に近い!これを食べたことがある人は、この中のスープがたっぷり注がれた器に、プリプリの食べ応えのある縮れ麺が泳いでいると想像してもらうと、近いかもしれません。
藤森君曰く、
「これは福島県の白河系ラーメンです。とらやさんの本店は福島にあります。喜多方ラーメンが全国的に有名ですが、僕はこっちのほうがウマいと思っています」
調べてみると、福島県の炭鉱で働く労働者のために生まれたラーメンのようです。だから醤油ラーメンでありながら、労働者の胃袋を掴むほどのインパクトが与えられているのでしょう。敷き詰められているチャーシューは、寒い福島県で、スープが冷めないようにフタ替わりに考案されたもの。これぞまさに地元で愛され続けるヒトサラ。
いつか福島にいって、とらやの本店で食ってやる!と誓いました。
はい、ということで、本日、そのチャンスが巡ってきたんです!岩手県の新規お取引先に訪問することになり、新幹線で行くのですが、藤森君が、
「オレ、福島に釣りに行くんですよ。新白河の駅まで送っていくんで、その前にとら食堂本店で食っていきましょうか?」
マジ!?行く!行く!絶対行く!!!
栃木県の那須塩原を出発して小一時間、下道であっという間に白河に到着しました。
白河市周辺一帯、どこを走ってもラーメン屋さんだらけ。コンビニの比じゃないくらい、ラーメン屋さんだらけです。そして多くの店はお昼前になると行列ができるそうですが、中でもとらや本店は、数時間待ちがざらだそうで、平日は比較的マシだけれども、新幹線の時間があるので、朝9時半くらいに到着を狙いました。
念願かなったゼ!オラ、ワクワクすっぞ!
「残念っす…」
え?
「定休日じゃないんですけど、臨時休業っすね」
ウソだ… ウソだろ…
それにしても、ラーメン屋の駐車場のサイズじゃない!写真に写っている部分だけでなく、私の後ろ側にもまだ駐車場があり、店の前にもスペースがあります。ざっくり軽く5~60台は入れますが、営業日は満車どころじゃなく、周辺の道までクルマで埋め尽くされるそうです。
「地元の人はとら食堂で並んでまで食べるのは嫌がるので、最近は他府県ばっかりっす。地元の人が行く店に行きましょう」
もちろん行く!そっちもかなり興味ある!
11時半の新幹線に乗るために11時からオープンしていて、駅に近いところの「ふくふく」さん
https://ramendb.supleks.jp/s/34236.html
雨の降る平日で、11時にいきなり人がどんどん入ってきます。適当に飛び込んだお店でいきなりの当たりの予感。
最高!オーソドックスな白河ラーメン。ああ…たまらない… 私の写真の腕が低くて申し訳ないくらい、実物は美しいんです。スープがきれいな色をしているんです。
ワタシをラーメン道のどっぷり引きずり込んだ藤森君は、味にうるさく、とら本店も通っています。そしてここのラーメンも絶品のようです。
「予想以上にうまいっすね~」
手打ちのモチモチの縮れ麺が最高なんです。ダシに続いてこの麺も白河ラーメンの特徴。もちろん、店によって少しずつ違いますが、ここの麺もうまかった…
汁を飲み干してしまいます… ここのダシは、少しショウガの香りが強めでした。まるで、鼎泰豊の小龍包にショウガをつけて食べているような感じ。斬新でした。ショウガのおかげで、無限に食べれそうな感じ。スープを飲み干しても、お腹がまったくもたれません。とはいえ、白河ラーメンの特徴は、腹持ちの良さ。この日11時に食べてから、夕食を8時半に食べるまで、まったく空腹にならなかったほど。
https://www.tv-asahi.co.jp/dainani/ranking/
これは、先日、クリームシチューが司会で始まった、「おらが県ランキング」という番組で、安くておいしいラーメンのランキング対決の最終決戦の結果です。テレビなので、大抵こういうものは、雑誌広告やメディア露出が多い有名店が、TV局とずぶずぶパワーで勝ってしらけるもんですが、今回はかなりシビアに感じました。というのも、有名どころがひしめく大阪、東京、福岡をおさえて福島が優勝。しかも喜多方ではなく白河ラーメンがメインで。
また、2位が広島であることもリアル。尾道ラーメンがうまいそうで、今度は尾道にもいかなきゃ!
白河駅まで送ってもらいます。この後、釣りに行くそうです。
カスタムを得意とする藤森君ですから、お手製の釣り竿ホルダーのおかげで、美しく道具類がマウントされています。
無加工、ボルトオン設計。これ、キット化したら絶対売れるよ…器用だな…
この辺ではイワナやニジマスなどが大量に釣れるうえ、大きいものは1メートル超えも時々出現するそうです。
さて、エネルギーチャージ完了!
岩手県を目指して出発だ!