原則、一般公道を走る車は、安全性確保のために、変えてよい部品と、変えちゃいけない部品が国土交通省で決められています。
変えても良い部品は「指定部品」と呼ばれており、それぞれ一定の条件はあるものの、原則変更OKなのです。それ以外の部品はそのままではNG。ただし、構造変更の手続きをとることで許可をもらえれば(認めてもらえないと結局ダメですが)OKとなります。
学校の校則にたとえると、制服が指定されているところでは当然、学校の指定する制服しかダメです。ただし、200キロくらいある巨漢のアメリカンが転校してきて、どうしてもその指定先の業者では作れません、となったら、学校と相談の上、よそで似たようなものを作ってきて、学校に事情を理解してもらい、認めてもらった制服が、構造変更にあたります。
(このHA36専用ポン付けオバフェン開発時に、指定部品の詳細と意味を確認し、勉強になりました)
靴下は、黒か白であれば良い、としか書いていなければ、ワンポイントはいったやつ、指先が水虫対策になった形のもの、短いもの、長いもの、どこで買ってもOKとなるのが、指定部品です。
指定部品に該当する部品の例としては、
けん引用トレーラ・ヒッチ ショック・アブソーバ マフラー 排気管 タイヤ、タイヤ・ホイール
ルーフ・ラック キャリア エア・スポイラ エア・ダム グリルガード ドア・プロテクタ
おお~、意外とOKなんですよね。これはまだ一部抜粋、まだまだ対象はあります。
クルマの改造をされる方も、やみくもにそれに反対するヒトも、あまり興味が無いヒトも、一度は以下の説明は読んでおいて損はないです。「独立行政法人 自動車技術総合機構」さんが丁寧に説明をしてくれています。
後付部品のよくある質問 https://www.naltec.go.jp/faq/0004.html
構造変更の手続き http://www.mlit.go.jp/jidosha/kensatoroku/kensa/kns05.htm
この業界で気になる部分は特に足まわり。ショックアブソーバーはOKなので、ホッとしますが、実は、リーフスプリングは全てを確認しても含まれて居ません。
つまり、リーフスプリングをアフターに交換した場合は、車検アウト。(ただし、強度検討書などがあり、陸自に事前申請し、OKがもらえたら話は別。)
違法、ダメ、ゼッタイ。
昔からマニアに人気の軽トラックですが、最近はマイナーだったこのジャンルも脚光を浴びだしており、当社もチョイ上げリフトアップキットを販売開始したころ、正直、予想外の良い反応にビビリました。
実際、S500ハイゼットなんて渋い色もたくさん選べて、仕事以外で使うヒトも急増中。
そうこうしているうちにお客様から当然、ダウンも欲しいといわれだしたのです。ところが、ダウンリーフの販売にはたくさんの問題があります。
〇片側3枚バネなので、左右で6枚も作らないといけない。ロットを考えるととんでもない在庫量と金額になり、保管場所をとる
〇重い。重すぎて、おそらく通常送料では発送できず、送料が大型で高額になる可能性がある。
〇基本的に高い。相場定価は3~4万円。ここにフロントのダウンサスや、車高調をプラスするとかなり高額なチョイ下げになる。
〇そして一番の問題が車検。非対応の商品は当社は極力さけたいところ(レース用ならOKですが)。
という問題が発覚。当社でも正直頑張ってやるべきかどうか、悩みました。と、そこに、当社の開発担当マッドI氏が突拍子もないことを言い出したのです。
「セカンドリーフだけでいいやん」
え? そんなこと可能??
「ちょっとさがったらええんでしょ。2~30ミリダウンやったらできる。昔は純正のセカンドとかをプレスで変形させてダウンしてましたやん。せやけど、僕は自分でプレスできるから、セカンドリーフだけ販売されてもバカバカしくて買いませんけど」
さすがです、さらりとスゴイ発想をしておきながら、売れないと思っているあたりが変態クルマオタク。商売っ気ゼロ。
いまどき、だれが自分でプレスするねん! まあ、時間と暇があり、かつ若いヒトなら可能でしょうけれど、仕事毎日あるヒトはそんなこと、もし出来てもしないヒトが大半でしょう。ショップさんだって、人件費が高くて、人手不足な状況で、こんなことやってらんないはず。
よし、これだ! ということで、セカンドリーフ計画がスタートしました。
試作品が完成し、テストOKになると同時に、今度は当社のお茶の水博士I氏が陸自にて、20ミリダウンのリーフのOKを取得(30ミリバージョンは現在申請中)。
そうこうしているうちに一年近く経ちました…
ようやく完成。
懸念していた重量は、歯医者嫌いの虫歯のサモハンキンポー(本日、吉野歯科にて治療予定)が、痛い虫歯を泣きながら片手で抑えつつ、もう片手で持てるほどの軽さ。当然、送料は通常サイズ。
在庫も100台くらいドンと来い的なコンパクトサイズ。
構造変更対応書類発行可能になり、たった3,000円で書類を購入いただければ、事前申請、書類作成の手続きなしで、いきなり車検時に商品を装着したまま検査を受けられます。
そして、お値段、なんと、リアリーフキット¥18,000! (税別の定価でね)。
それだけでなく、なんとフロントはダウンサスではなく、無加工ボルトオンのネジ式車高調キットもお付けして、合計定価¥39,800!!!!! フルキット、冥土IN奈良県です。100%生ジャパンをふんだんに使っております。
もうアホです。やりすぎです。リーフとフロントをノーマルショックベースとはいえネジ式にしてこの値段です。もう少し儲けたいですが、私たち営業マンがとにかく自信が無いので、最初からバナナの叩き売り価格です。(工場長は安すぎだと怒っています)。
肝心の乗り心地も、驚くものです。クルマにまったく興味の無い、闘魂キャンセラーな私が乗る限りは足回りが変わっていることすらがわかりませんでした。フロントレートは後からきくと7kg。軽自動車にしては相当固いはずですが。むしろ、ふわふわして、もっと硬くすればいいのに、というと、クルマオタクどもから、「ホイルとタイヤと空気圧がこんな純正なヒトが装着するわけネエだろ」。とのこと。ごもっとも。
その後、当社でとてつもないレーシングショックなどの減衰などを担当している、足回りの鬼、B型職人Mr.Uが、これまた当社商品を販売する営業マンでありながら、だれよりも自社製品に対して批判的な営業マン、ネガティブTKZをつれてテストドライブに行きました。この二人が商品テストするとなると、誰もが「勘弁してくれよ」とため息をついてしまう二人ですが、最終的に、「乗り心地イイ」という全員一致の答えが出ました。
工場のクルマですが、工場長自身が、ダウンキット装着していたことを忘れていたほどの、乗り心地です。ある意味、クルマがシャコタンでガタピシいってくれると、「いいねえ~」と喜ぶ環状世代には物足りないことでしょう。
まだ、ホームページでは正式販売とはしておりませんが、ショップさんなどには連絡中。
ただ、残念なことに初回ロットはもうほとんど販売開始前になくなりつつあります…
もし、欠品といわれたら、次回のリーフ入荷は2ヶ月くらい先の予定です~
そして、おそらく同じものが装着できるはずのS500P(現行ハイゼット)と、その4WDたち、また他の軽トラックたちもどんどん製作予定です。(といって、また一年くらいかかりそう…)
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