もう10年以上前のことです、戸田レーシングの社長にお会いしたのは。
当社も戸田レーシング様も所属しているASEAというアフターパーツの協会の会合が珍しく大阪で開催されたときのことでした。
アフターパーツ業界はクルマ好きで陽気なヒトが多いですから、お酒の席も派手なイメージですが、戸田社長は寡黙で、武士のようにじっと座っておられ、質実剛健という言葉が即座に浮かんだことをいまだに記憶しています。そのたたずまいから、この会社の商品は間違いなく、しっかりと緻密に作られているんだろうと想像させられました。
当社も40年以上の歴史を持つ会社ですですが、戸田レーシング様も40年をゆうにこえられています。
http://www.toda-racing.co.jp/jp/corp/history.html
歴史を見ても、エンジン一筋、技術一筋。ぶれずに淡々と確実な仕事をされていることが良く分かります。レースにも宣伝のためよりも、技術の実践の場として取り組んでおられることがわかります。
本日は、岡山から遠路はるばる奈良県まで、担当営業の渡邊さまがお越しくださりました。ありがたいことです。
記録が残っていないのではっきりしませんが、20年、いや30年近くのお付き合いだと思います。もしかしたらそれ以上かもしれないようですが古すぎて古参メンバーもいつか分からないほどのようです。販売にそれほど貢献できていないにも関わらず、お付き合いを大切にしていただけることに本当に感謝です。戸田社長のお人柄がそのまま会社全体に反映されていると思います。
2017~のカタログもたくさんいただきました。
非常に立派です。紙質も良くお金かかっています。買えば¥3,000します。大切にお取引先に配布してきま~す。
今回すごく気になったのが
「OJISAMAスポーツクラッチキット」
http://www.toda-racing.co.jp/jp/product/flywheel/ojisama.html
現在の業界のツボをしっかりついておられます。
OJISAMAな私もぐっときました。そうなんです、クルマにお金と魂と愛をこめているのはOJISAMA達。そのOJISAMA達をレスペクトされてくださっていることに、ズキューンです。
この、「OJISAMA」という言葉に私は色んな意味と可能性を感じています。というのも、この言葉の裏にあるのはスポーツカーライフを若いヒト、若い世代だけが楽しむのではなく、長くクルマと付き合うという風潮が高まっていることの証であり、クルマ文化が本当の意味で成熟する段階に入ったということです。
若いときの車の楽しみ方の多くは、ただとにかく派手に楽しみたい、ドレスアップにしろ、競技にしろ、ストリートにしろ、どうしても勢いや流行に左右されがちです。けれど、歳を重ねてからの楽しみ方というのはそれこそイギリスなどのクルマの歴史が長い国でもあるように、紳士的に楽しく人生と心を豊かにするものでもあります。
さらに営業の渡邉さんの説明の中に、軽自動車のエンジンパーツ等の開発の話がありました。従来のスポーツカーに加えて、軽自動車のチューニングが過熱していることも察知しておられ、色んなパーツの開発研究に着手されているとのことでした。
F3をはじめとするフォーミュラの世界でも長年結果を出し続けた実績と技術を持つ戸田レーシングさんが軽自動車パーツを計画しているのは驚きであると同時に、やはりクルマ文化への理解の深さを感じました。
軽自動車というのは世界で唯一無二の日本だけが持つ特殊な存在。たくさんお金をかけずとも、クルマを気軽に楽しむための存在として、非常にすばらしいものです。大きなクルマでぶっ飛ばすことがカッコよくステータスなんていうのは、日本も発展途上で成金がゴロゴロしていた頃の話。クルマだけでその人のステータスを決め付ける時代は終わりました。ヒトに見せて優越感を得るためのものでなく、自分が自分の身の丈に合わせてカーライフを楽しむ、という選択が本当のクルマ文化の熟成につながります。
長時間、色んな話を熱くされていました。
しかし、ここは関西。やはり一言、言っておかずにはおられない!
「モノはすごくいいんです、が、値段もう少しなんとかなりませんかねぇ?」(笑)。
「考えておきます」(サクっ)
質実剛健な返答をいただきました。