台湾出張 No1

海外出張の備忘録です。クルマにはあまり関係無いことが大半なので、興味のない方には申し訳ございません。ただし、台湾旅行に興味のある方には少し参考になるかもしれません。

今回は、急遽台湾の取引先の社長の訃報を聞きつけての旅となりました。カワイ製作所の川居相談役とは長年、台湾の自動車部品の展示会には毎年見学に行く間柄でもあり、今回も同行となりました。

いきなりの空港のラウンジ。そう、今回はリッチにビジネスクラス。

「生意気だぞ!」

とお𠮟りをうけるかもしれませんが、ちゃんと理由があります。この数年、預ける荷物の重量超過が異常に厳しいのです。昔は、数キロ、へたすりゃ20キロ、30キロオーバーでも許してくれたり、手心を加えてくれたものですが、最近はきっちり請求されることが増えました。JALだと規定より荷物数が一つ増えれば2万円!荷物の3辺合計が203cmを超えても2万円!重さが32kg以上オーバーだと6万円!

エコノミーのチケットを安くゲットしても、数万追加料金をくらうと、ビジネスクラスを超える金額になることも十分あります。他社で他国でのことですが、1キロオーバー¥3,000で、20キロオーバーで6万円ほど払った経験があり、もうこりごり。

旅行ならLCCでもいいのですが、仕事だと欠航は困るし、重量のある商品サンプルの行き来もありますから、結局、これがベストな選択。とはいえ、正直、にやけちゃいます。ラウンジ、超豪華。

セルフサービスで生ビールまであります。もちろん無料。完全おのぼりさん。

一度でいいから、仕事抜きのプライベートでこんな思いをしたい… 金持ちっていいですね… 仕事、もうちょっとがんばろうかな…

関空から台北までは3時間前後。北海道に行くような感じ。朝の9時代に出発すれば、お昼には到着。

最近は旅行に行くのも、ツアーを頼らない個人旅行が急増。おかげで格安航空券のネット購入が楽になりました。当社は20年近く航空券手配はエアリンクさんにお世話になっていたのですが、この数年、ネット販売の勢いを受け、会社がDENAトラベル、そして現在はエアトリのグループに入っておられます。航空券手配、おススメの会社です。今回の航空券も、実はかなり安いんです。

https://www.airtrip.jp/

過去ずっと乗ってきたエコノミークラスが養豚場のように思えてきた… こんなイイもん喰ってたんですね…(驚愕)プライベートジェットなんか乗ったら、そりゃゴウリキちゃんも舞い上がるわな。

到着です。台湾は先進国です。日本と同じ。行ったことが無い人は誤解しているかもしれませんが。

当社の代表の30年近くの友人の陳さん。ワタシもシルクロードに入社してから20年ほどずっとお世話になっています。川居相談役も10年を超えるお付き合い。

家族ぐるみのお付き合いで、陳さんのお父様のお葬式にも参列しましたし、ワタシの結婚式にも参加していただきました。取引先ではなく、親戚のオジサンに会うような感覚。

台湾という国の複雑さは、陳さんから教わりました。

陳さんはお父さんを尊敬しています。その亡父様は、日清戦争後、日本が統治していたころの台湾を知っている人。そして大の日本びいきだったそうです。お父さんを尊敬する陳さんも当然、日本びいき、ということもお付き合いのきっかけの一つ。陳さんは当社とお付き合いが始まったアラフィフで日本語を、台湾でNHKを見ながら独学で数年でマスター。今は、日本語もペラペラ、カラオケもばっちり。元々英語も話せちゃいます。こうみえても資産家で奥さんも大手会社のエリート経営陣の1人。

おつきあい当初とまどいました。陳さんから「日本が占領していたときに建てられた大学です」「橋です」「ダムです」などと説明を受けるたび、歴史を知らない私は”びくっッ”としたもんです。歴史に無知なワタシ、とりあえず日本のテレビは夏になると、戦争をした「日本人は悪人」と刷り込んでくれるので、戦争の話=ビクビク、でした。

ところが、よく話を聞くと、日本政府が占領していた時代に生きていたお父様は、陳さんに「日本政府は当時遅れていた台湾のインフラや社会の仕組みを一気に近代化してくれたからこそ、今の台湾がある」と説明していたそうです。当時の日本政府が慈善事業ではなく、最終的な自分たちの利益を考えての統治であり、対応だったということも理解したうえで、それでも当時の日本の行動を賞賛してくれていることに、台湾人の懐の深さに感動し、当時の日本人の良心にふれることもできました。テレビや学校では日本人を完全否定するような話しか戦争になるとでてこないものですから。

特に日本人の八田与一というダムを作った人は、台湾ではだれもが知る英雄扱いをされていることを、ワタシはつい最近まで知らなかったほど… 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E7%94%B0%E8%88%87%E4%B8%80

日本のメディアはもう少し中立性を持って欲しいもんです… 台湾人みんなが知っているのに、日本人でその名前知っている人なんて、一握りでしょう。あとワタシも自分の無知さをちょっと反省… 台湾を知ることで、当時20代後半だった私は、それまで知らなかった過去の日本人の海外での別の姿に出会あえました。

さて、今日は内装関係の会社を訪問。シルクロードは自社工場がありますから、自然と自社製造品が多いのですが、別に海外製品を否定しているわけではありません。

モチはモチ屋。特に当社が苦手とする内装品は、その道のプロにお願いするのがベスト。ということで、当社の一部の内装品を製造してくださっているのがこの工場。メインはベンツバンをVIP仕様に改装する仕事。

お~っ、すげえ… 現行アルファードだ… ってか左ハンドル!

一体いくらするんだろ… ワタシ、日本でもまったく買えませんが、台湾だとベースグレードで1,100万円は越えるとのこと(冷汗)… ましてやエグゼクティブならどうなっちゃんうんだろ…

「ようできとんな~」

と、川居相談役。似合いますね。ワタシは恐れ多くて乗る気にもなりません。どうやらこのアルファードもVIP仕様に改装されているようです。凄い技術。

その後色々見学した後、台湾でもっとも大切なイベント、それは食事!

この店、一度食べてから病みつき…やめられません。

本当の地元の料理屋。これがとんでもなく美味い。ワタシと同じ位食い意地張った川居相談役が、叫んでいます!

「おーい!まだあったゾ!これ絶対注文するやろ!?」

たけのこです。でも日本のたけのことは違います。生で刺身でいただくんです!

ホンマにヤバイです。中毒性あります。ぶつ切りにしたものを刺身醤油、そして台湾の甘いマヨネーズにつけて食べるのです。味は、ふかした超甘いとうもろこしで、食感はみずみずしい茹でたアスパラガス。

ワタシ、どうしてもこれが食べたくなったときに、日本で収穫したての、柔らかい部分を刺身にして食べたんです。うまくないな…と同時に口から死ぬほど泡を吹き、死ぬかと思いました。あとから調べると日本のたけのこはあく抜きするのが常識だったんですね…

これは台湾の定番。玉子焼き。グザイにはいろんなバリエーションがありますが、このシンプルなネギがヤバイです。大目の油を高温にしてさっと焼いているんでしょうけれど、この旨味は日本ではだせない…

クウシンサイ炒めよりも、こっちのほうがおススメ!A菜。エア菜とも呼ばれています。口当たりが軽く、無限に喰えてしまう野菜炒め。ちなみに野菜嫌いの人の多くが、台湾の野菜料理にはまった姿を何度も見ています。他にも、芋の葉っぱ炒めも不思議な食感でとても美味いです。

から揚げ類も絶品。台湾では豚が肉の中では最もポピュラー。鳥からあげより、豚が多いイメージ。

中でもワタシが愛しているのが、羊肉(ラム)のピリ辛炒め。これはクセがありますが、ビールにとてつもなくあいます。台湾は意外と辛いものはそんなにありません。パクチー(香草)もはいった料理はそんなにありません。大半の日本人に受け入れられる味が多いのが特徴。

見た目はう~ん、となる人が多いかもしれない、台湾焼きソバ。日本の焼きソバのほうが世界では珍しく、中国や台湾の焼きソバはこうやって汁が多め。台湾の焼きソバは、日本の焼きそばとは別モノだと思って食べることをおすすめしますが、これはこれで超絶品。これと焼き飯は絶対の鉄板メニュー。

〆(しめ)に必ず頼むのは野菜と豆腐と玉子のスープ。これ、味がまったく無いに等しい。なのに、やめられなくなる恐ろしいスープ。塩や調味料がゼロで、代わりに色んなグザイの旨味の塊みたいな味です。身体も心もほっとするスープ。日本で、たべたくなって作っており、飲んだヒトは「うまい!」っていってくれるのですが、ワタシからすれば、インチキスープ。どうすれば無味なのに、口がうまい!と思ってしまうこんなスープが作れるんだろうか、と今も悩んでいます。

でも最高なのは、台湾ビールと、優しい台湾人の方々。陳さんもそうですが、お店の女将さんも大将も、年に1度しか来ない私たちを良く覚えていてくれて、すごく大切にしてもらっていることが、言葉が通じなくても分かるほど。台湾に来た人は同じように感じていると思うのですが、2~30年以上前の、私が子どものころの、古き良き地代の日本の人情や温かみが、現代に残っているような印象を台湾人の方々から感じます。

台湾は日本と同じく先進国。人も街もきらびやかなのですが、日本人がどんどん喪失していっている「人間味」を今も豊かに残しているような感じがします。それはまるで、調味料が大量に入った料理、インスタント料理がどんどん増えている日本とは対照的に、食材の旨味の塊の料理が多い台湾料理のイメージとかぶります。

台湾という国は、歴史的に複雑です。独自の民族に加えて、色んな国からの人種が混じっているところに、中国や欧州、そして日本がいれかわり占領し、統治者が何度もかわり、独立したと思えば、今度は中国が主権を主張する。そんな色んな経験をしているからこそ、物事を多方面から冷静に見れ、他国の痛みも理解できる、台湾という、懐の深い国と民族を生み出したのだろうと思います。訪問するといつも「ホッ」とします。

さて、明日は本番。台北から台南へ新幹線で移動!