関東出張続いています。今日は、クルマ好きなら涎がでるような有名ショップさん巡り。
まずは浮谷商会さん。
数年前に引っ越しをされ、
「ココがオレの死ぬまで働く場所ダヨ」
といって笑っている浮谷社長とお取引をはじめたのはジャスト20年前。むろん、ずっと以前から浮谷商会はあります。
イニシャルDの映画では、エンドロールで浮谷商会の名前がでてくるそうです。
「制作にあたって情報を提供させていただいたんだけど、このアニメは凄いね。日本国内のみならず、海外にAE86マニアが増えたのはまさにイニシャルDのおかげ。アイルランドから来てくれたメーカーさんやお客さんに見せてもらった動画には、一度のイベントで3000台のAE86が集まってたんだよ!」
「ナニが凄いってね、彼らは所有することだけでなく、実際に走って楽しむんだよ。公道を閉鎖してさ、週末にそこで走行会するんだよ。近所の人たちも集まって家族でバーベキュー観戦してさ。で、目の前でAE86がひっくり返ると、大喜びしたあとに、みんなでクルマをレスキューしてさ。遊び方、楽しみ方を良く知っているし、何より社会全体からも乗馬などと同じ文化的な感覚で受け入れられていて、日本のように反社会的なイメージが無いんだよね」
他にもマレーシアなどアジアからも来店が多いそうですが、AE86をしっかりと乗り回して楽しむ、というスタイルが徹底しているようで、その背景には、クルマが趣味の域を越えて、素晴らしい一つのスポーツや文化的な遊びという感覚で世界では受け入れられていることであると、浮谷社長は少しうらやましそうに話しておられました。
どんどん純正部品が廃盤になっていく旧車化したAE86のために、大量の部品がストックされています。それでも入手困難な部品があったり、レストアの見積もりするだけでも、部品を外せば色んなネジや配線やプラスチック類がどんどん壊れますから、ちょっとした修理でも気の遠くなるような手間と時間とお金がかかります。しかも専門知識が無いと難しい。ディーラーや一般整備工場ではこういう旧いクルマを対応してもらえないことが多い理由。
凄いもんです。海外のお客さんからも「ビッグボス」という愛称で尊敬されているんです。まさにクールジャパンの伝道師。でも、実際お会いすれば、ビッグボスなんて怖いイメージは皆無。物静かで穏やかな社長で、ときどき、ツボに入ると、「ふふふ」と笑うのがワタシから見てもカワイイ社長さんです。
さて、お次はラスティさん。
ここのピットにはいつもだいたいトンでもないクルマが入庫しています。浮谷さんとは対照的に、現役バリバリのサーキット系のクルマが多いショップ。こちらも老舗で古いお店で、ワタシがこの業界に入った20年弱前に、「JZX日帰りAT→MT」という広告や記事を雑誌で見た衝撃が今も残っています。
トヨタ車をメインにしているわけではないけれど、圧倒的にトヨタ車のユーザーが多いのはこのイメージが強いのかも。
作業を待つスペースもばっちり。
こうやって上から作業をのぞくのは圧巻です。「どうぞ見てください」っていえるのは、腕に自信があるからこそ。モタモタしたり、失敗しているところを見せられませんから。
有田社長は、この事務所か、筑波サーキットのどちらかにしか居ない人。有名凄腕ショップの社長、筑波のタイム争い、ショップの作り、といった情報から、最初にあったときは「怖い人かも」と思いました。お会いすると意外なことに拍子抜けするくらい優しい社長さん。
誤解を避けると、当社のワタシ以外の社員は、社長も含めて競技、改造、チューニング、ドレスアップ経験者。ワタシだけが珍しく、クルマ知らずにこの業界に入りました。「闘魂キャンセラー」(本来はトーコントロールキャンセラー)とマジで伝票に書いて激怒されたり、「タコ足」(本来はマニフォールド)をまじでその名前の商品だと思い、カタログで探して見つからず、「”タコ足”という製品はどのメーカーからも販売されていません」と平然と答えた過去を持っています。
そんなワタシに商品を問い合わせてくださり、私が理解できないときは丁寧に紙にささっと絵を書いて、構造まで教えてくれます。本当にクルマの知識がある人の特徴は、素人に丁寧に説明できる人なんです。そして、質問しても「バカなこと聞くな」「そんなこと当たり前」「常識だろ」とは絶対に言いません。
ショップ探しをしているアナタ!そうなんです!ワタシが訪問しているショップは絶対安心なんです!このブログに登場するショップさんたちは。そう、クルマの知識量が低いワタシだからこその選択眼!(何の自慢や…)
そして、そんな無知なワタシに色んな知恵や情報をくれ、新商品開発の協力までしてくれているのが、3UPさん。
3UPの三上さんと出会って言われてハッとしたことがありました。
「営業マンにしては珍しいですよネ。知ったかぶりをせず、『わかりません、教えてください』っていいますよね」
はい、はずかしながら… どうせ、わかったフリして注文もらっても、間違った商品送ったほうがもっと怒られるくらいは分別付くので…
「でも、それがいいのかもしれません。視線がお客さんと同じなんです。その視線を活かせば、お客さんが本当に欲しい商品が作れるかもしれませんね」
ほ、ほめていただいたのヵ…
そういわれたことで、今まで気付かぬフリをしていた車検制度への対応商品を積極的に増やせるようになりました。今まで、メーカーも「改造は自己責任。レース用パーツだから、一般道の対応は自分で考えてください」であり、ショップさんも「車検通す書類くらい作ればいいし、ダメなら改造車検に切り替えればイイ」的な商品が多かったのです。
素人感覚からすれば、「レース用部品だって車検にすんなり通るようにして欲しい」ですし、できることなら「装着が最初から車検対応がいい」。これを素直に三上さんに質問したり、社内の会議で揉んで生まれたのが、交換すると非合法なアーム類の車検時の書類作成。
また、オーバーフェンダーはカッコイイけど、改造車検受けないとダメ、というわずらわしさから開放された、車検OK(継続)9mmワイドフェンダーもそんな言葉があったからこそ。
今日は、ある商品のテストをお願いするために3UPさんを訪問。
タービンキット。当社は製造しておりませんが、JAWS山本さんの提携工場で作られた商品サンプルがあがってきたのです。
こういったテストなんかも快く協力してくれるので助かります。メーカーでも自社テストをしているところもありますが、正直、専門店さんには敵わない。ムリをして中途半端なことをするなら、その分野のプロに依頼するほうが、最終的にお客さんによいものが提供できます。とはいうものの、手間も時間もかかりますから、頼めるお店さんはとても大切。
ひょっこりはん、ではありません。3UPの重鎮、岡崎会長がご出社です。知る人ゾ知る。初代D1女性チャンピオンです。というワタシは、クルマに興味が無かったのでその当時のことは知りません。私にとってはむしろブログ師匠。このシルクロードブログを立ち上げたのは、岡崎さんの影響。
クルマ業界のブログって、ワタシのようなトーシローや、クルマにそんなに興味の無い人は正直読みにくいと思っていたのですが、このブログを一度みてからオモシロくて、マネをすることにしたのがきっかけ。それにしても師匠は厳しく、今回も、
「なんかアレだよね、結構、色々事前にネットで調べてから、それをさも自分の知ってることのように書いているよね。手間かけすぎじゃない?」
やめて、そんな人の手の内読むような指摘…(苦笑) さすが、完全にバレテる…
「昼飯いきましょう!」
と岡崎さんの高級愛車に乗ります。
「最近、『高い車に乗ってますねえ。儲かってますねえ』といわれますけどね、『これ中古で買ったんですけど、中古のS15買うより安いですよ』っていうと納得してくれます(笑)」
そうなんですよね、シルビア、スカイライン、AE86って、正直もう高級車。
本日、ランチでご馳走になったのは、私もお気に入り、寿製麺よしかわ川越店。
https://tabelog.com/saitama/A1103/A110303/11040851/
ここでひと悶着です。ここは魚介スープが人気なのですが、ワタシだけでなく、岡崎さんも三上さんも魚が苦手。なので、鳥出汁ラーメンがお目当てなのですが…
「なんか三人同じじゃつまんないですね。新作の限定マグロラーメン、おいしいかどうか、人柱になってください!」
いやだ~!せっかく口の中があのウマイ鳥出汁ラーメンになってんのに~、ヤメロ~、オニ~。無慈悲に食券を購入されてしまいました。悲劇は後に起きます…
二人はニコニコです。そりゃそうだ。ここの鳥出汁ラーメンの美味さは尋常ジャ無い。あいかわらずきれいな出汁だなあ…
ワタシ、栃木の白河系ラーメンを食べてから、流行のトンコツ系や超にんにく系よりも、濃厚醤油にハマっています。これもまさに名ラーメンです。醤油系や塩系はゴマカシがききません。そして、このお店の豚チャーシューは、世界一です。ウソじゃありません。これ単体でフランス料理の皿にもって出されてもおかしくありません。なんとも説明が出来ないのですが、チャーシューというよりは、ローストビーフのとんでもなくレベルの高いものとしか言えません。ポークですが、霜降り高級しゃぶしゃぶの肉よりウマイ!
ワタシのマグロラーメンが出てきました。最初は罰ゲーム気分でしたが、ウマイ!トンコツスープを豚骨ではなくマグロ煮込んでで作ったような感じ。魚があまり得意ではないワタシも、匂いはちょっと苦手でしたが、味は臭みもなく、レベル高い!さっぱりこってり、という新しいスープ。魚好きなら100%ウマイです。
事件はこのときに起きました…
「ちょっと味見」
といって、岡崎さんがワタシのスープをレンゲですくって、「ペロっ」となめた直後、「いや~!」といってワタシの器に戻しにかかったのです!
「何するんすか!」
と、とっさに口走った瞬間、「ハッ」とした表情で、今度は同じく魚嫌いの三上さんの口にねじ込んだのです… 三上さんも何が起きたか分からず飲み込んでしまっています。恐るべし…
まあ、お互い、いつも鍋を突っつく中で、別に岡崎さんの箸だろうが三上さんの箸だろうが、食べ残しだろうが気にならないのですが、「味見させてよ」といって他人の食物を奪った上に、次の瞬間に返品されるというのは人生初体験経(゚Д゚;) 瞬間パニック。
とまあ、こんな感じで、いつもグダグダでお世話になっています。ワタシが担当になってからで、すでに8年経ちました。時の経つのは早いものです。
最近はもっぱら、10数年後、60歳になるころにはどういう商品や商売をしているかという話題です。10年なんてあっという間ですからね。クルマのモデルチェンジサイクルが6~8年だと考えれば、この業界の10年はほんとに「すぐ」ですから、10年単位で先を考える必要があり、この話題はいつも盛り上がります。
さて、ラーメンといえば、今回の関東出張中に、栃木のジャスティスの藤森君がこんな凄いプレゼントを当社に送ってくれてたんです!これは出張から戻った後日談。
ワタシの中のラーメンランキングを根こそぎ替えてしまったのは、ジャスティスの藤森君です。
それまではトンコツやニンニク系のこってりだったらなんでもおいしいと思っていた私は、栃木県で白河系のラーメン屋さんに連れていかれたとき、最初は「なんだ、ただの醤油ラーメンかよ」と思って一口スープを飲んだときの衝撃は忘れられません。
とらや分店
https://www.tochinavi.net/spot/home/?id=10786
ぶっちゃけ仕事そっちのけで、これが食べたくて栃木に行ってたかもしれません。それくらい衝撃的でした。こってり系とは違い、出汁の味をごまかしにくい醤油スープ。最近はやりの、ただの薄い醤油や塩系とも違い、醤油なのに旨味の爆弾的な、あえていうならコッテリ醤油。3UPさんといったよしかわさんも同じ系統。
この1~2年は、営業よりも商品開発に重点が置かれてきて、営業日数が減っており、ジャスティスさんにもあまり訪問できなくなっていたのです。そんなワタシの白河ラーメン愛を知っている藤森さんが、気を使ってくれたようです。しかも、これ、分店じゃなくて福島県の本店のラーメンじゃん!行ってきたんだ!
インスタント系は、説明を読まずに適当に作る私ですが、今回はしっかりと茹で時間や分量を守りました。
ああ… もう神々しい… 夜食べるまでに待ちきれず、昼間にチャーシューと玉子と野菜を用意しました。
家なので、ザンネンながらラーメン器が無いので、らしさがありません… でも、しっかり本場を思い出しながら、生タマネギのみじん切りもブッコミました。本場は薬味ネギではなく、生タマネギなんです。
最近は家飲みは体調を考えてやめていたのですが、今日は飲んじゃえ!
藤森大明神さま… 思わず東北東方角に合掌していました… これ、麺もスープも店で食べる味に相当近い。再現率がハンパ無い。この味のスープを自分で作りたいと、もう2年以上、週末に挑戦してきましたが、一生かかってもムリそうです。
気がつけばラーメンブログになってしまった… でも、人の本音は食事のときに出るものです。営業マンとして十数年、九州、四国、関西、関東を回ってたくさんの人にあってきましたが、やっぱり食事は命を繋ぐ行為。同じ釜の飯を食う仲、とはよく言ったもので、食事を誰かに提供するという行為から、それを受け取った側は太古の生存本能で、「この人は命を繋いでくれる人」と認識するようにDNAが設計されているのでしょう。おいしいものをいただいた喜びだけでなく、何か縁のようなものを感じ、話も広がります。
最近は、女性とデートで食事をした男性が、「なぜオレが全額ださなきゃいけない」とか、「割り勘できる女性がいい」とか、「男女平等ならオトコが払うのはオカシイ」とか… 男女平等とか人間平等という理屈が、迷走しているような気がします。女性を守る、弱い人をいたわる、これは理屈抜きに当たり前のこと。古臭いといわれるかもしれませんが、なんだか屁理屈が多すぎるように感じる今日この頃。こういうことを言い出したら、もうワタシも年寄りだなと、自覚はあるんですが。
本当にお金に困っているなら、最初から行かなきゃいいと思うし、何より人に、わずかな金額のものでもいいから、ご馳走してもてなすことができるなら、それ自体が幸せなことだと思うのです。人に喜んでもらうために行動するのは、仕事も同じ。何もせず20万渡される人間と、頑張って働いた代価として20万円もらう人間の精神は、どちらが充実感、社会への所属感、幸福度が高いかは、心理学でもすでに科学的に立証済み。
他人が喜ぶ顔が見たい、だから仕事をしているんです。このブログに登場しているショップさん達は皆、言葉にはださずとも、その気概に溢れている人たちばかり。そしてそんな名ショップを回るワタシは幸せものだと、皆さんとラーメンをすする度に感じます。
食い意地のはった私の関東営業はもう少し続きます。