イーカスタムさん来社。
http://www.eeecustom.co.jp/home.htm
FT86、新型ロドスタ、サニトラのエキマニで有名。
サニトラ人気が過去最高だそうで、「サスペンション関係をラインナップしたい」、とのご相談。
イーカスタムさんの強面の職人さん(実は超優しい)が、クルマ好きだけでなく、モノづくりにも長けているそうで、ツルワ社長が、
「工場、見学させたって」
とのこと。残念ですが、大きく無いし、量産もほぼやっておらず、一般的な「工場」のイメージではないですョ。
シルクロード隣接の工場、㈱セクションは、試作品作り、図面化が主な業務。量産はアウトソーシングで、大半は外注さんに依頼。
試作品を作り、図面化したものを依頼し、外注さんから入庫した部材の検品や加工、組み立てをしています。
「これ何?」
FT86、BRZのリアキャンバーアームです。協力工場さまから、レーザー抜き、曲げ、溶接が終わって、戻ってきたところ。
検品後、別の工場さんにて、電着カチオン塗装されます。戻ってきたら再度、検品と最終組み立て。
これが完成した姿。
「ここは?」
ここはマシニング機械の作業場で、主にピロアッパーやアルミのパーツを削りだしてます。
「試作品?」
それもありますが、車高調のピロアッパーやアルミシート類を作ってます。
「ってことは、量産品も作るんやな?」
ピロアッパーの場合は、受注後、一台ずつ、ワンオフ制作。単品発注は、協力社さんも断るし、高額になるので。
「え?ほんとに一枚ずつ、切り出すの?」
ええ、一枚の板から、マウントの基台を打ち抜いて、アルマイト加工に出し、当社で最後はピロボールなどを組み付けて完成。
「在庫したらあかんの?」
バブル時代、スポーツカー数車種だけ対応してればよかった頃は、大量在庫していました。
現在ピロアッパー対応車種は、数百車種。数セットずつ在庫するだけで、1千万円超。古いベンツやアルファロメオ、ジェミニ、アルシオーネなど、希少車などもたくさんあります。在庫したっていつ売れるかわからないものが大半なので、受注生産。
「これは何や?」
ハイゼットトラックのリフトアップマウント。先ほどのアーム同様、レーザー加工、溶接加工、電着塗装加工、それぞれ異なる工場さまに依頼しており、当社では都度、検品と最終組み立て。
FD2シビックのリアキャンバーアーム。
現行プリウスのアーム。
R32スカイラインのアッパーアームなどが組み立て中でした。
「こんな面倒くさいもの、バカ正直に、自社でやってたんかいな!?海外ちゃうんか?」
アーム類は奈良県の陸運局と打ち合わせ後、構造変更の情報をオンライン登録してもらっていますから、強度に責任をもたないといけません。
海外製を否定しません。最近は良くできていて、強度も十分かつリーズナブル。取扱いたいけれど、万が一、先方の都合で材質や溶接方法を変更された場合、書類と異なるものを販売することになります。製造責任という観点。
ピロボール関係のパーツは、国内メーカーさんのものを使用しています。本来は工業機械用のものが大半。クルマに利用する場合は、クルマ専用の強度や角度設定で依頼。工業用より高くなりますが、妥協できない理由は、アーム製造方法と同じ。
ピロアッパーには、ミネビア製にお世話になっています。
https://www.minebeamitsumi.com/product/bearing/1181967_6154.html
「ほんなら、海外品は一切つかってないんか?」
そんなことないです。使います。ただ、完成品を買うことはほとんどなく、材料で購入が大半。組み立てる、という作業は検品も兼ねる事ができますからね。他人まかせにせず、組み立てることで、検品も行い、自社品質基準を保っています。
メイドインジャパン、という言葉が独り歩きしているけれど、そこにこだわってはいません。
品質が良くてリーズナブルなものであれば、海外製も日本製もどっちもOK。ただ、最近の日本のマーケットは少量多品種に対応するため、比較的発注ロット数量が少なく、納品が安定している日本製を採用がたまたま多いだけ。
現在の日本の自動車部品のマーケットは、カバーする車種が非常に多い上、流行のペースも速く、各車種ごとに大量に在庫していたら、すぐ倒産。逆に在庫量が少なければ、余力を新商品開発にまわせます。
「そうか、製造側も色々あんねんなあ。っていうか、今日はエライ真面目やん」
さすがに、社内でいつもどおりふざけてたらマズイっすから(苦笑)
「2階は何やってんの?」
関係者以外立ち入り禁止!ヤバイもの作ってるんです(笑)
青葉オートさんから借りたサニトラで、いろんな部品を開発中のイーカスタムさん。自社で作れるものを主に販売しておられますが、サスペンションについては当社に依頼してくれます。これも、アウトソーシングの一つの形。
「自社生産」って言葉はカッコイイ。メイドインジャパンも素敵な響きですが、大切な事は商品の品質と効能、そしてできればコスト。メイドインジャパンありき、自社生産ありきではないんです。目的を達成できるなら。
このイーカスタムさんがテストという名目で当社営業車に手がけた10万ポッキリマット塗装サービス、今後取り扱いをさせてもらう予定。これもアウトソーシング。
多用な車種がチューニング、カスタムベース対象になった上、それぞれのクルマに高い専門性が求められる時代。当社は専門性に関する情報をショップさんからいただき、その代わりに量産を担当する、という考え方を、特にこの10年、力を入れてきました。
オートリサーチ米沢さまと共同開発するL275レース用車高調。
3UPさん(テスターby MJ STYLEさま)とのR34スカイライン車高調ハイスペックバージョン
JAWS山本さんとのJB64ローダウンドリフト車高調も、全て同じ。
このショックアブソーバーのテスター室で、実践テストされた車高調とデータを分析後、減衰変更、ガス圧変更などをかけます。その繰り返しから、専門店が納得できるモノになったら量産するのが当社の得意分野。
それを購入するのはホントにお得。だって、自分で何度もテストして、減衰変更、ガス圧変更、スプリング変更、ブラケット長変更なんかやっていたらトンでもないコストです。
さあ、いよいよ本格的にお盆明け。秋が迫ってきましたが、まだまだ灼熱の日々が続きます。暑さに負けず、今週もぶっ飛ばして逝きます!