ショックアブソーバー組立室を通りかかると…
新品を分解中。
ということは減衰変更ですか?
「オートリサーチ米沢さんのレース用ショックの制作」
レース参戦者が集うオートリサーチさん。
RMS-Kシリーズを、さらに減衰変更されるケースが多い。
減衰力特性を決める大きな要素であるシムとバルブの組替え。
このピストン部の変更が、減衰力変更の大部分を握っています。
オイルを入れて組み戻し開始。
ショックアブソーバーは、簡単に言えば大きな注射器。
押し込む部分が先ほどのピストンロッド(筒)。
押したり戻したりする時の抵抗力が減衰力にあたります。
レースでは使用するスプリングレートが高くなる傾向。
ですから、基本的には減衰力も高いほうが良い。
現実はそんなにシンプルな話ではなく、複雑な要素が関係します。
ピストンスピード(作動時のスピード)にあわせて発生する減衰力の強さ。
伸び側と縮み側の比率。
使う環境、スプリングレート、サスペンション構造によってそのセッティングは複雑に変化。
最後にガスを入れて完成。
ではありません。
減衰力を1本ずつ計測。
一般的にショックアブソーバーは、2割前後の減衰力の誤差が許容というケースが多い。
当社ではさらに厳しい数値を設定。
レポートを添付して完成。
変更したショックアブソーバーにはシリアル番号を入れます。
この番号には、いつ、誰が、どういう変更をしたかが記録保管。
破損した場合も、同じ減衰力のショックアブソーバーを再現可能。
こちらはJA4トゥデイ用のオーバーホール。
使用状況に関わらず年1回必ずご依頼いただくユーザーさま。
恐らくトップクラスのカテゴリーで戦っておられるのだと推察。
過去の修復履歴、減衰力変更内容、修理内容、全て残してあります。
ビジネス的には厳しいオーバーホール作業。
1日1~2台が限度なので、人件費を鑑みると新品ショック交換のほうがコスト的には助かります。
けれど、数あるメーカーの中から当社製を購入してくださった事実。
できるだけ長く使っていただける手伝いができることは、当社にとって至上の喜び。
安心してご利用ください。
当社は基本土曜日はお休みですが、若手が自分の車高調をオーバーホール。
当社ではウエルカムなこと。
商品理解の良い機会。
実は、このデュアリスはワタシの昔の愛車で、彼が購入してくれたのです。
装着されている車高調はプロトタイプ、装置後13年、走行距離14万キロオーバー。
とうとう減衰力が仕事をしなくなり、オーバーホールを決断。
優しい先輩たち(?)の手ほどきのもと、なんとか完了。
さて、私は組んでもらったショックアブソーバーで、車高調の組立。
特注仕様は量産工程の妨げとなるため、受注した営業マン自ら行います。
(特注対応は、営業マンが直接訪問している一部店舗に限られます)
ブラケット側でのキャンバー調整機構は、当社の強みの一つ。
ピロアッパーが装着されていなくても、キャンバーを微調整できます。
ピロアッパーにすれば、上下での調整が可能となり、セッティング幅が増大。
一部ピロアッパーマウントには、キャスター調整機構も付与。
ジオメトリー調整はサスペンションの重要機構。
レース経験豊富なオートリサーチさん。
全長調整式には基本的に不要なヘルパースプリングをあえてご所望。
伸び側ストロークをさらに確保するとめと推察されます。
ちなみにヘルパースプリングはメインスプリングの上下どちらに組むか意見が分かれるところ。
当社ではゼロGでのセット位置がわかりやすい上側を採用。
レース経験の無いワタシ。
でも、5年間ほど工場で修行させられていましたからご安心ください。
HA23車高調ARY仕様、完成!
と、いいたいところですが…
オートリサーチさんからいただいた宿題がたくさん残っています。
とりあえずHA36とL275の2台と、まだ何かあったはず…(汗)
当社の兄弟会社、工場部門である㈱セクションはフル稼働中。
現在約2000種類の商品ラインナップがあります。
自社生産、少量生産だからこそ対応可能。
入社したばかりの頃、商品はなんとなく自動的にパーッっと簡単にできるものだと思っていました。
工場であるセクションに配置されてその大変さを理解しました。
機械ができる仕事は一部。
大半の部分は手作業。
材料のレーザーカットはしてもらっても、組立て、溶接、塗装するのは人間。
提携工場への持込、引取りも人間。
それを依頼するために図面、作業内容依頼、交渉するのも人間。
検品するのも人間。
ピロアッパーマウントのプレートは、機械が切り出してくれます。
けれど、アルマイトをする前の酸性水での表面処理は手洗い。
一枚ずつ乾燥させるのもヒトの手。
その上、営業マンが個別の特殊な注文を受けてくる始末。
兄弟会社ながら、開発力、量産能力の高さに感謝しかありません。
開発会議でも、わがまま言いたい放題に付き合ってもらっています。
これはハイエースのある部品。
痒いところに手が届くこの部品の詳細は、来月の雑誌取材でご報告いたします。
形になりつつあるAUDIのキャンバーアーム。
そして、いよいよショックアブソーバーに新たなバルブを設計。
D1で活躍する小橋選手が3UPさんを通じてリクエストしてきた減衰力を現実化させる武器。
初期の減衰力の縮み側を極限までゼロに近づける。
まったく同じリクエストをいただいたのは中村直樹さん。
ドリフト界の頂点を争う方々からのリクエスト。
貪欲な彼らを一度ギャフンといわせてやる!
と偉そうなことをいいましたが、請け負うのはお隣の工場さん。
ワタシはそろそろスペアタイヤ交換ができるようにならなくちゃ(笑)
夕方5時を過ぎても明るい。
日照時間がながくなってきた!
ということは…
2ヶ月間の冬眠仲、見事に育ったマックボディとお別れする時期。
明日はイーカスタムさんと、80キロのお散歩!