AE86ユーザーのHTSダンパー’ロス’ そしてTOKICO、KYB様との長いお付き合い

今なお、人気が衰えない、むしろさらに人気になっているAE86。そして、最近、またしてもこの問い合わせがありました。

「AE86用のHTSダンパー隠し持ってません?」「ロット購入の量次第じゃ、全部買うから、TOKICOにOEM依頼できますか?」

とショップさんからのSOS。いわゆるTOKICO HTS ’ロス’。当社も過去、いろんなOEMショックを製造していただいてので、それを知っているショップさんから復刻できないかという相談があるんです。でもザンネンながら、TOKICO社自体が、2004年に日立制作所に買収され、アフターパーツからは撤退されたのです。

TOKICOが実質アフターから消滅したとき、当社の最古参メンバー、村尾部長が提案して出来たのがAE86のリア全長調整キット。

http://silkroad-jp.com/portfolio-2/ae86/sus_1ab-d02

減衰力12段調整、そして、リアショックを全長調整式にすることで、さまざまな長さのリアスプリングに対応できます。リアスプリングを純正の長さにこだわる人や、ローダウン気味にする人、さまざまで、その長さに応じたショックを入れないと、スプリングが脱落したりすることもありますが、このショックならこれ一つで色んなオリジナルスプリングをカバー出来ます(モチロン装着前は長さのご確認をお願いします)。

部長は、シルクロードの創業メンバーで在社43年。自身も元々競技好きでラリーでは日本2位になった経歴もあります。だから、特に最近流行の旧車、ネオ旧車なんて得意分野なのです。

AE86のみならず、さまざまな旧車、ネオ旧車のフロント車高調の悩みを解決するこの汎用キットの産みの親でもあります。全長調整式をスピンドル車に装着できるとスタートしたのは当社が第1号。汎用キット単体で販売するクレイジーな会社も当社くらいのようです(笑)

http://silkroad-jp.com/portfolio-2/suspension/project-suskit-uni

スピンドル式車高調 作れるキットあります

創業期メンバーの時代に生み出されたAE86パーツは、そのほとんどがいまだに売られ続けています。その中でもいまだに売れ続けることの理解に苦しむのがコレ。

http://silkroad-jp.com/portfolio-2/footwork/foot_ae86rsp

リアスプリングスペーサー。色んなサイズがあるのですが、いまどき、軽自動車やミニバンで採用されているリアのネジ式アダプターのほうが楽、と私は思うのですが、かなりの数量出ているところを見ると、AE86ユーザーには何か理由があるのでしょうね… 

さて、今回、久しぶりにTOKICOの名前が出たので、まさかな、と思い当時のカタログを探していると、村尾部長が持っていたのです。でるわ、でるわ、古い資料の山。KYBの古いカタログも出てきました。

「オレがちょうど入社したとき、ちょうど43年前やな、KYBさんがはじめてアフターパーツ向けのショックアブソーバーを出したのは」

これは持っている中では比較的新しい資料のようです(汗)。今も過去の資料をたくさん秘蔵している当社の部長。シルクロードのみならず、この業界の生き字引です。

「発売されると聞いたとき、2トントラックでKYBの松原の工場まで直接引き取りに行ったんや。」

なぜわざわざ?

「そりゃもう取り合いや。バカ売れするのは分かっていたから。現場でも『もっとくれ!』なんて押し問答もしたもんや。向こうも割り当て足らないくらいだったからなあ。そしてその2トン車のまま岡山へ新規取引先に営業に向かったなあ」

それだけの量は流石にさばくの当時でもタイヘンでしょう?

「逆や、まったく足り無い。ショップでも取り合いや。『荷台の商品、ここに全部置いていかんと帰らせん!』って話もしょっちゅうあった。特にスカイラインのショックはいくら納品しても足りなかったな」

その当時からKYB様とのお付き合いが始まり、シルクロードの歴代サスペンションには必ずKYBのショックが欠かせません。

おいおい、こんなものを売っていたのか… スゲエな。 車種もシルビアはともかく、FC3Sはあるけど、FD3Sがまだ発売されて無い時代かいな。えっ、パルサーに、じぇ、ジェミニ…(汗) こんなラインナップだけでもとてつもなく売れていたっていってんだよなあ…

そしてこの当時もすっかりお世話になっていたKYB製やTOKICO製のOEMショックたち。私も入社した20年近く前、なんとなく覚えています。でっかいトラックに、1本でも結構な重量のショックが20本入り。その箱がトラック満載。荷受すると若くても腰が超痛かった。

このキットはまあ理解できるけど…

こ、これは…

こんなものまでやってたんですね(汗) 流石に時代を感じます。

これらはすべて、KYB様、TOKICO様にお世話になっていたのです。そしてOEM依頼をするようになって、当社でも減衰力についてのさまざまなノウハウや知識を吸収させていただき、それが現在発売している全長調性式のショックアブソーバーを独自で開発するきっかけとなりました。

当社としては自社生産にこだわったわけではなかったのです。ただ、ラリー、ダートラ、ジムカーナのブームを引きずっていたこの業界では、従来のネジ式、全長固定式用で事足りている、という状態でしたから、リスクを負って新しい構造のショックを作る必要性が無い、という状態だったのです。特に大きい会社ほどなかなか転換は難しいのです。

ただ、当社の代表は自身が営業マンあがりで情報収集をしていたので、いつまでもノーマル車高やちょっと下げたり、上げたりのサスペンションでは限界が来る、特に斜陽になりつつある過去の競技に比べ、サーキット、ドリフトが盛り上がり始めており、ストリートでも車高を落とすドレスアップの流れを感じ、全長調整式にすべき、とショックを探した結果、量産品は無いので、自社で作ってしまう、と決心したのです。

短筒式は、KYBやTOKICOの複筒式に比べれば製造工場や工作機械のコストはかなり抑えられるとは分かっていましたが、それでもとてつもない費用が必要でした。社運をかけての製造工場立ち上げのプロセスは、私も入社していましたから良く覚えています。

そして、発売された全長調整式は、大ヒット。

当社はオリジナルショックアブソーバーを開発したものの、今でもKYB様にはさまざまなご協力をいただいています。

まずはこれ。

KYB様も全長調整式をスタートさせ、特にモータースポーツ用として販売を続けておられます。

そのノウハウが凝縮されたショックを、当社と減衰力を打ち合わせさせていただき、独自のものをOEM納品いただいております。 特に旧車では絶大な人気があり、よく購入いただいております。 当社の倒立ショックとのすみわけは、KYB様のものは、ダイヤルが上にあるので減衰調整が便利。特に下部ダイヤルだと、スピンドルの場合は、調整ダイヤルが中に入り込んでしまうので、スピンドル車両では抜群に便利です。 ただし、当社で減衰変更が出来ないこと、またKYB様の内部規定で、短いショックを作る限界があるため、当社のショックアブソーバーと共生しています。

また、軽自動車ではコチラが助かっています。 これはHA23V、アルトバンのレース用車高調。

http://silkroad-jp.com/portfolio-2/suspension/rms-k-sp/project-suskit-suzuki

この車高調が、ウワサではかなり良いタイムが出る!、ということで売れているようです、ありがとうございます。 ついでに、「高いけどな」と枕詞がつくそうです(汗)。 許してください、国産パーツって高くつくんですよ… そして、高性能の一つの要素にリアショックがあります。 これがKYB製。

軽自動車のリアショックというのは、特にスズキは純正からすでにトンでもない短いものが多く、当社のショックアブソーバーでは車高が落ちないものもあるのです。そんなときにはKYB製のオリジナル減衰力仕様が抜群。しかもこのリアショック、アルトバン以外にもかなり色んな車種に流用されているそうで、リアショックの欠品が良くあります。KYB様は、超大企業ですから、生産予定が数ヶ月周期で決まっていますので、突然売れてしまい、売り切れると、次回納期がサイアク数ヶ月先になることもあります。 欲しい方は在庫あればラッキーだと思って購入してください(笑)

軽自動車は特にサーキットユースを考えると、無理にリアを全長調整式にする必要が無いものも多く、当社ではHA23V以外のHA36、L235などはすべてKYB製をOEM制作していただき、使用しています。

http://silkroad-jp.com/portfolio-2/suspension/rms-k-sp/project-suskit-ha36skyb

http://silkroad-jp.com/portfolio-2/suspension/rms-k-sp/project-suskit-daihatsu

当社の考えは、常にショップさんとの直接の営業訪問から得られる、ユーザーの要望に応じたものを作るという考え。

だからこそ、リスクを負ってでも全長調整式を自主製造したり、かと思えば、長年のお付き合いがあり、安心して相談できるKYB様にOEM依頼をする。 それぞれのジャンル、車種、使用方法に適したパーツが供給できることが最善だと考えるからです。 そしてそんなことが可能になるのも、やはり昔からの血の通ったお付き合いがある、今回であればKYB様のような素晴らしいお取引先さまがおられるからこそ。

こんなSNSの発達した時代に、古い直接営業訪問なんかしなくても… とブツブツ愚痴ることもあるのですが、やはり昔からのお付き合いの大切さをこうやって見せられると、間違っていないんだなあと関心もします。