リアアクスルをリジッド化 K-CARの挙動を激変

今回の豪雨災害は、発生場所が岡山、広島などの人口密集地を含み、日本の大動脈である山陽道をマヒさせていることもあり、広範囲かつ長期化の気配。当社からの出荷、集荷にも影響が出ております。ご了承ください。

個人的にも友人のいるエリアで確認を続けていますが、先日の地震同様、視聴者の感情を過度に煽る偏った報道が多い… 今は全体像を把握できる客観情報が最重要なのに… 惑わされず、冷静に状況を見極め、自分の環境で許す範囲で、できることをやればいいと思っています。当社も現地取引先さまのリクエストに応えられるものは、ささやかながら対応中。


さて、ご紹介するのは、軽自動車のリアのアクスルの挙動を変化させるパーツ、アクスルリジッドキットと、アクスルカラー。

軽自動車やミニバンの多くに採用されているリアアクスル式のサスペンションは、荒っぽくいえばハイキャスに近い動きをするといえばいいでしょうか。高速移動中などに特定の状況で、急ハンドルを切るとオシリがでてしまいやすくなる危険性に対し、メーカーが安定性向上のため、意図的にリアのアクスルのブッシュをよじれさせ、トー変化させている可能性があります。

トゥデイ用アクスルカラーの開発協力をいただいたアニキエンジニアリング様  http://anikieng.com/

基本的には問題の無い構造ですが、特定の場面ではドライバーの意図しない動きをすることもあり、コントロール面を考えると、ハイキャス同様、その動きをキャンセルしたいユーザーもおられるでしょう、特にサーキットでは。そのためのパーツです。

まずはリアアクスルリジッドキット。L880Kコペンと、L700Sミラ用。

http://silkroad-jp.com/portfolio-2/footwork/footwork_accrigid

以前のシルバー塗装から仕様変更、錆び、腐食に非常に強い、電着塗装黒になりました。

アクスルブッシュとリアショックの取り付け部分を繋げることで、リアアクスルの変化量を極度に落とし、ドライバーの意図に素直に動くようにします。開発のきっかけは以下のブログで紹介させていただいております。ちなみに今は亡きこのスタビレステンションキット、名パーツだったのになあ。廃盤になると問い合わせが来るなんて…

L880 スタビレステンションキット さよならさんかく またきてしかく

プラスアルファの機構として、ショックアブソーバーの取り付け位置を後方50㎜、下方30㎜移動させたポイントに移動可能です。セッティングによってはショックのストローク量や運動方向を適正化できます。

ピロボールが奢られている上では破格の¥28,000(税別定価)です。でも見た目に分かりにくい商品です。装着したときのあの気持ちよさを、もっとお手軽に多くのユーザーに体感して欲しいということで、スペーサー式の、アクスルカラーを開発しました。

http://silkroad-jp.com/portfolio-2/footwork/footwork_arc

こんな感じでスペーサーを挟み込むだけ。

クルマ業界はこのようなパーツには、「ウレタン」が使われていることが多いものです。安くて加工がしやすい、素晴らしい材料ですが、基本的には耐久性が低い。表面が引っかかりやすいので、動いたり、回転する部分だと破損しやすく、日光や水にも弱い材料。ということで、当社はOPF-Wという聞きなれない材料を使っています。当社の工場長は材料マニア。高級材料を見ると、涎をたらし、採算度外視で導入しちゃうんです。

一番の売りは自己潤滑性。触るとわかりますが、ローションでもかけたかのようにヌルヌルしています。フッ素のおかげです。しかも耐腐食性はアルミを上回っています。基本的に摺動部はスムーズであるほうが部品に対する負担も低いですし、挙動への影響も最小限となります。

でもね、高い… ウレタンならもっと安くできたのになあ…

車種によって、必要枚数は異なります。ボディ側2枚ですむものから、最大4枚必要なものまで。車種によっては¥3,700ですむものから、マックス¥9,600かかるものもあります。とはいえ、これだけ良い材料を使って、先ほどのリジッドキット¥28,000と比べれば、コストパフォーマンスはかなり良いといえます。

最近、軽自動車用のパーツは、こういった走りに直結するものの売れ行きが全国的に増えてきました。今年はS660、エッセ、コペン、アルトワークスなどのK-SPORTSが目覚しい。

素直に嬉しい。

というのも、私が営業マンになった10年ほど前は、関西以外の地域では正直、「軽自動車用の部品ですか?う~ん、うちは関係無いですね」っていう反応が多かったものです。一部地域では失礼ながらもう少しキツイ反応をされたこともありました。

私は個人的にはタイヤが4本ついていればどれもクルマ。どれが正解なんて無い。みんなが十人十色の愉しみ方を色んなクルマで見つけることが、日本のクルマ業界、大げさにいえば日本の文化の発展の一部であるとまで思っていたので、そういった反応に落ち込んだ記憶があります。

今日は、当社の敷地には、開発用としてお借りしているスーパーキャリー、ジムニー、S660、XBEE、フェラーリーモデナ360があります。これだけバラエティに富んだクルマの開発をさせていただけているのは、当社がクルマに対して偏ったイメージをもたれていない証だと(勝手に)想い誇りを感じています。

当面、豪雨災害についても心配はつきませんが、やるべきことをやりながら、残った力でできることをやっていく、と、いいたいところですが、私自身は情けないことに溜めこんだ仕事を「はやくしろ」と社内からもお客様からも叱られあたふたしています。いずれにしても、一日も早い復興を祈ります。