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40年以上もこの業界で営業活動をしているシルクロードには、老舗ショップさまとのお付き合いもたくさんあります。大変ありがたいことです。
その一つが、浮谷商会さま。
この写真だけでも作業待ちのハチロクが6台ほどありますが、ピットやボディ修正部屋にも数台あり、まだ庭などにもあります。
「AE86に賭ける」というキャッチコピーです。「翔ける」,「駆ける」ではなかったところに何かありそうですが、そこまでつっこんで聞いたことはありません(笑)。ただ、起業当初は当然色んな車に携わっておられ、今でも特にトヨタの旧車などは相談を受けたり、メンテをされておられます。何かの会話のときに、AE86に乗ってすごく感動したことがあり、そこから専門的にやるようになった、とのことですから、AE86に「賭ける」という意味があったのかもしれません。
挨拶にむかい、ピットでいきなり目を惹いたのはこいつ。真っ黒でピカピカのAE86。白やパンダ、赤が多いAE86には珍しい色で、どんな車も黒を選ぶ私には、超嬉しいAE86。
ほんとにピカピカだなあ。ボディレストアしたのかなあ?
ほぼ全て純正パーツ。う~ん、なんか違和感あるなあ。
足廻りも完全ノーマルなのに、錆びやらダメージがゼロ。
やはりおかしい。
は????????
流石にドノーマルの新品みたいなショックのAE86は始めた見たゾ!
ゼッタイおかしい。
後ろから浮谷社長が声をかけてきました。
「これ、ほとんど未走行に近いクルマだョ。しかもBLACK LIMITEDっていう限定車。確か500台ほどだっけな。」
ウオー!
いったいいくらするんだよ、こんな玉。
商売人の関西人の私ですら、恐ろしくて聞くのはやめました(笑)
「このクルマはともかく、この間までまともに乗れるようになった車体は300万くらいだったけど、もう400万を超えだした感じだねえ」
はー、私が業界に入った20年前くらいは、事故ったら電信柱で引っ張ってゆがんだフレームを治している人がいるなんて(時効)話もあったような荒っぽく乗られていたクルマなのにねえ…
こちらでのボディ修復作業の担当の方も、私が担当になって訪問してからずっと何年間も途切れず同じ作業を延々とされています。
数年前に引っ越しするとき
「オレ、もう死ぬまでAE86やる覚悟で新店舗建てたよ。辞めるときは死ぬときだね、ははは」
と笑っていました。
アイルランドなどの日本から遠い国の外人さんも訪問する事務所にはマニア垂涎のパーツが山盛り。
無い物、欲しいものはなんでも作っちゃうところに、AE86愛を感じます。
ドリフト業界、スポーツカーブーム、世界的な日本車ブーム、そして浮谷さんにとってもショップの大きな転換期を巻き起こしたのは、やはりマンガ「イニシャルD」の存在とのこと。
こんな激レア商品までありました(笑)
ハチロクを最高のコンディションに引き上げることをライフワークとしておられる浮谷さんは、私にもそれに関わるいろんな商品の提案を下さります。
最近でこそ純正シート装着率も高いものの、今なお根強いのはレカロ、ブリッドなどのリクライニングやフルバケ。とはいえ、スポーツシートはサイドウォールが乗り降りで劣化して穴が開きやすい。
一部は専用品が販売されているものの、汎用的にそこをガードするものを作って欲しいとのこと。ガンバルッす!
ネオ旧車、旧車ブームは、ジャンルとしては昔からありました。
けれど、最近その流れが急加速しているように思います。ショップさんの意見としては、「最近出た車は面白くない」「値段が高すぎる」「そもそも新型スポーツカーがほとんどない」という意見が多い。
日本の自動車メーカーはもう世界的に不動の地位を築いています。しかし、その地位にたどり着く上で、品質の良さはもちろんですが、庶民の手に届く価格であり、なおかつ世界のスーパーカーに比べて庶民向けであったことがあります。しかも、その歴史において、例えば庶民のZがポルシェをサーキットで撃墜したこともありました。
このアフター業界でも、その価格のおかげで若者でさえスポーツカーを乗ることができ、台数が増え、チューニングパーツやショップが増え、結果的にそパフォーマンスにさらに磨きをかけ、日本のドリフトやサーキット車両が世界の憧れになったことも、日本の自動車メーカー躍進に貢献しています。ですから、今こそ儲かる車ばかり優遇せず、利益は薄いでしょうけれど庶民向けスポーツカーの開発もお願いしたいところ。
何はともあれ、年式が古くなればなるほど、純正部品がどんどん製造廃止になります。そして、クルマも老化してコンディションが悪くなってきますが、その修理や、診断には途方も無い知識と経験が必要であり、ディーラーはもちろんのこと、一般修理工場でも対応できなくなってきます。
とういうときに、浮谷商会さまのような、知識と経験が豊富で技術もあり、なおかつ無い部品は探したり、生み出したりすることができるショップさんが今後どんどん重要になっていきます。当社も、そういう部品の復活にお手伝いをさえてもらい、少しでも貢献できたらと思っております。
ご本人の発言どおり、旧車は永久に不滅! この世を去るまで仕事は終わらないんでしょうね(笑)