発売20周年 エンジントルクダンパー

コロナの影響で営業と出張自粛中のため、プレミアムジャパンの仲良し営業マンさんにイタズラ電話。

話題は先日ご相談いただいたトルクダンパーの件に…

http://www.premium-jp.com/

「R34とR33ってエンジンレイアウトがほとんど同じだから装着できると思ったら、ヒューズボックスの位置が変わっていて、ボックスカバー外さないといけないんですよね」

「結局、お客様はどうしても欲しいということでECR33用を加工して装着されましたが、R34用もぜひ追加して欲しいっス」

嬉しい。営業でれないからこういうフィードバックに飢えてたんですよね。

そんなエンジントルクダンパーは、発売からちょうど20年。

http://www.silkroad-jp.com/home/portfolio-2/reinforcement/rein_etd

スポーツ走行時に欠かせないパーツの一つが強化エンジンマウント。

ただし、装着ハードルが高く、プロショップに依頼するのが前提。それをDIYで簡単装着できるレベルにすれば、幅広くスポーツ走行を楽しんでもらえる、という発想で生み出された商品。

ボンネットを開けて、ボルトオンで装着できる追加エンジンマウントという概念。

エンジンマウントが大半エンジンの下側にあるのに対して、この製品は上部に装着。併用することで上下から押さえ込むことになり、ノーマルエンジンマウントでも効果は抜群。

ガソリンエンジン車はエンジン内部のすさまじい爆発力を駆動力に変えて走行しているため、常時激しく振動しています。

の振動が車内に入るのを防ぐために、エンジンマウントというゴムを主とした部品を介して車体に装着されていますが、メーカーが静粛性を重視し、柔らかくしすぎると、スポーツ走行に悪影響を及ぼします。

エンジンマウントが柔らかいと、エンジンがグラグラ動くため、加速や減速時のレスポンスが悪化したり、ミッションの繋がりが悪くなったりする場合があります。

とはいえ、強化マウントは装着が大変…

ということで、気軽に装着できるトルクダンパーは便利!となるわけです。

20年前には存在しなかった製品。

当時、ドラッグレースのFD3Sなどで、エンジンとボディを鉄の棒で溶接固定することがありました。10秒程度の一瞬なら問題ないですが、一般道を走ると恐ろしい振動と音が常時伝わり、固定しているボディ側はすぐに破損。

リアゲートで使われているオイルダンパーを装着するユーザーもいましたが、熱でオイルがすぐに劣化。

誰もが無理だとあきらめた幻のパーツでした。

忘れもしません、入社したてのバイトの頃、開発会議を見学させてもらっているときにこの商品が議題に。長時間の議論の結果、営業マンたちが企画中止を判断したとき、当社の代表が、

「中身をオイルショックでは無く、ゴムブッシュにしたらどうだ」

となり、一瞬、シーンと静まり返ったことを覚えています。

オイルショックの中身をゴムにしてしまう発想は「?」となって当然。

けれど、試作品を作ってビックリ。凄く具合が良い!(現在はコイルスプリング式と併売)

ゴムの材質を試行錯誤し、熱の耐久性もクリア。実用新案にも登録し、発売を開始したのが20年前。

入社直後で、クルマのことはちんぷんかんぷんでしたが、商品の企画ってオモシロイ!と感じたきっかけになりました。

製品化されてしまえばなんてことは無い新商品。

でも、この世になかった製品が生まれるときは、柔軟な発想と、一瞬のひらめき、そして常識はずれだと思われるものを、馬鹿にしたり否定しないこと、といったすべてが揃わないと生まれないと知りました。

日本発の革新的な商品やサービスが生まれにくく、二番煎じに甘んじることが多いのは、自分自身を振り返ってみても過去の経験にないものを日本人気質が受け入れない傾向があるのでは、と感じました。

これを機にどんなにばかげたアイデアであっても一旦肯定しよう、と思うようになりました。

当社のエンジントルクダンパーマイスターは、工場長。他の社員には無理なんです。

当時、ワタシと同じく20代のピチピチで、互いに駆け出しで、遅刻する、ミスする、無断欠勤するといったどうしようもないバカモノ同士。

彼は当時からものづくりが好きで、トルクダンパーをゴムで作ると決まったとき、社長さら指名されて第1号を作った本人。

誰もが作れる商品では在りません。

過去の膨大なトライアルエラーを繰り返してきた彼だからこそ可能。

大抵の車のエンジンルームは狭く、知恵の輪のようにどこに通すのかも、彼自身が何度も苦労して見つけ出してきました。

その上、試作品を作るには色んな機械を使いこなす必要があります。

たった一つのトルクダンパーを生み出すために、たくさんの工程、技術、経験、ひらめきが必要。

作って、装着して、うまくいかず調整加工を繰り返す。

途方もない時間をかけてベストな位置をみつけます。しかも当社は基本的にボディ穴あけなどの加工は無しであることを重視していますから、大変。

試作品が完成しても終わりではありません。

一定期間のテストの間に、量産用に図面化し、協力工場さまに各パーツの製造を依頼しなければなりません。

苦労が多い商品なのですが、売れ出した途端、海外でコピーされたものが大量に日本の市場に流れました。

JZX90/100、EG6、EK9、S13、14、R32、R33、FD3Sが当時の主なラインナップ。人気車種が集中していた時代は、大量生産を得意とする海外勢の独断場。激安価格の前に当社はあっという間に駆逐されました。

けれど、マイナー車種や新型車種を中心にラインナップを続け、ひっそり販売していたあるとき、イギリスから電話がありました。

「おたくの製品をEVOに装着したら、装着に加工が必要な上、すぐに破損した」

真っ青になり、イギリスから送ってもらって確認したら… コピー品。

先方に説明したところ当社製品を購入してくださり、

「本物は全然違うね。フィッティングはもちろんだけど、耐久力が全然違う」

と一年ほどたってからわざわざ連絡を下さり、その後、定期的に購入してもらうようになりました。

これをきっかけに”Made in Japan”というロゴを入れるようにしました。自信を持って販売すべきだと。

コピーを防ぐことはなかなか難しいですが、コツコツ、まじめにやり続ければいつかお客さまには理解してもらえる。

そう思いつづけていると、あっという間に20年。

20年たった今、お互いアラフィフ。

今年はトルクダンパー20周年だからさ、新車種、一気に増やそうよ!

ハイゼット、キャリー、ミラ、エッセ、コペン、ハイエースディーゼル、新型スイフト、R34スカイラインが欲しい!

ハイゼット系なんて、こんなところに装着できそうで、ワクワクすんだけど!

「簡単にいうなよ。オマエラ営業マンが『今回だけ急ぎやねん、一生のお願い!納期早くして!』を、一生無しにすると約束できるならな」

サーセン(汗)

やっぱいいですぅ~…2~3種類で…