華やかに見えても…

最近は、昔ほど、「GW前だから!」「正月前だから!」「盆前だから!」みたいな、大型連休の前に駆け込みで忙しくなるということは減りましたが、この4月は数年ぶりに、ドタバタ感があります。

「なんとかGW前に」という納期の依頼が異常に多いんです。うちの工場長が珍しく溶接エリアにいます。

シルクロードに隣接する「株式会社セクション」は、シルクロードが提案する商品を具現化し、量産して納品してくれる製造工場です。セクションは原則、型取り、新商品開発、図面設計、サンプル制作がメインで、実際部品はできるだけ奈良県内の長年お付き合いのある下請け様にお願いをし、アウトソーシング化をしています。

けれど、もちろん、溶接、マシニング、塗装、FRP整形、旋盤加工、どんな商品でも作れるだけの機材は揃っています。他の社員はともかく、工場長自らも量産品に関わるときは、相当、納期が押している時。つまり、「かなり忙しい」ということです。

そして「かなり忙しい」=「相当、機嫌が悪い」ので、早々に立ち去り、営業に向かいます。

カワイ製作所さまに到着すると、工場の外で吉田社長が、困り顔でウロウロしています。

http://www.kawaiworks.com/

どうしたんですか?

「シートレールの車検制度がまた厳しくなったから、色々対応してるんやけど、筑波の試験所で破壊試験していてはラチがあかない部分もでてきてなあ、自社でも試験機械を設置してるんや」

あァ~、川居相談役が先日いってた超高額マシンだ~。

カワイ製作所 シートレールのさらなる安全性向上への取り組み

「設置場所を決めて、そこに収まるようにつくってもらったけど、その設定やら電源とる場所やら、色んなことがあってなあ。普段の作業できないから、もうタイヘン… 相談する相手のはずの相談役は、台湾のショーに見学いって、帰ってきたら、あんたと九州出張同行らしいやんかあ」

私も一緒に遊んでると思われてるな(苦笑) ここも退散しよう…

バランスさんに配達しにいくと、山崎さんも忙しい様子…

https://ameblo.jp/balance-ap

「作業はずっと忙しかったけれど、4月は理由は不明ながら、特に忙しいですねえ。お客さんのクルマもパンパンになっているし、来週からウチもイベントが毎週のように続くから、時間に余裕が無いです」

怠け者の自覚がある私は、忙しいお店に居ると、居心地が悪いんです。どこでゆっくりしようか… 

そうだ! イーカスタムさんでコーヒー飲もう! 

と、到着すると…

おいおいおいおいおい、一体ナニをしてるんですか!?

「うちさ、敷地無駄に広いやろ~。更地にしてこの敷地をつかって貸し倉庫はじめるんやけど、全部業者にまかせてたらお金いくらあっても足らないから、自分で出来る仕事はコンクリやら土方やらゴミ処理から全部やってんねん」

うわあ、下手したら「手伝え」っていわれそう… 

一昨日、新型ロードスター用のエキマニテストをしていたとき、確か、4本、形状違いを作って、一本テストしていたところに遭遇したけれど、残り3本ももう焼き色はいっている! まさか…

ND5RC ロードスター用ロングマニ by イーカスタム(eee custom)

「ああ、しんどかったけど、4本、2日間で全部テストしたよ… それぞれの違いもしっかり説明できるように、つけ比べしたから、のべ数十回取り付けてはずして、走行して、また取り付けて走行して…を何回やったかわからん… なにせ、今年2月からもう2ヶ月、休みほぼゼロやな… せやけど、お客さんから『ロードスターのまに、完成いつですか!』って問い合わせが多いからなんとかしたいからなあ。フランスからも催促のメールきてたわ(笑)」

「来週からは、今度はマニュアル車両に取り付けてテストして、仕上げはシャシ台でパワーグラフの計測や!」

うわあ… なんて居心地が悪いんだ… 会社に帰ろう…

「ふーーーーーーーーー」

とマッドI氏がうなりながら何かのショックをOH中… え? オーバーホールにドリル?? 破壊してるやん!

「ああ、これな、十数年前に限定販売していた、全長調整式ではなく、固定タイプのヴィヴィオ車高調のショックやねん。固定タイプは分解ができない部分もあるから、本来、オーバーホール非対応品だけど、こんなになっても長い間使ってくれているのを見ると、むげにするわけにもいかず、時間もかなりかかるけど、やってみようと思って…」

今日だけでもオーバーホールの依頼、十数台置いてあったけど、全部できるんだろうか… 一台やるだけでも数時間かかるのに… 夜中までやる気なのか…

なんだろう、今日一日、神様に「お前もちゃんと仕事しろ」って言われている気がしてきた…

「優雅な白鳥も水面下では必死にもがいている」、というたとえ話がありますが、まさにそれを感じた一日でした。実はここには書けないことも多数あったんですが、どのショップも、どの社長さんも同じようなことでした。

そして、最近お取引が始まった、独立して一年目の若い社長さんに、なぜ安定した仕事をやめてまで、という質問をしたら、こんな答えをいただきました。

「ちょっと面映い言い方になりますが、やっぱり仕事や経営が苦しいときも『夢』があれば楽しいんですよね」

そうかあ、確かに私の営業先の頑張っている社長さんたちは、みんな大なり小なり、自分なりの夢をもってるもんなあ。

若いときは、夢といわれたら、何か壮大な野望なもののように思っていましたが、40を超え、50にも近づくと、「お客さんに喜んでもらう」ってことでも十分な夢だと気付きました。目の前のお客さんに喜んでいただけることで、「明日もしんどくても頑張ろう」という気持ちに変わるものです。

来週から九州出張。深夜の片道700キロの移動×2と九州一周1000キロ弱の長旅も、お客さんの笑顔を頼りに頑張ろうっと!